ストッキングを脱がされ

こんなに素敵な男性が、わたくしの、すぐ近くにいるなんて夢のようです。

 

このときまで、お見合い結婚した主人と、父親以外には、男性と接したことはありません。

 

食事の席で隣に座ることさえ、まったくと言っていいくらいなかったのです。

 

わたくしは、自分で言うのはおかしいですけど、人より容姿が劣っているということはございませんでしょう?

 

こんなこと、答えにくいですか。

 

ええ、ええ、ありがとうございます。

 

お世辞ではないでしょうね。

 

はい、本当にそう思っていただいているんですね。

 

そうでしょう。

 

どちらかというと、いいえ、この際はっきり言ってしまいますが、わたくしは美人の部類に入るはずです。

 

若い頃から、どこかでわたくしを見初めたという男性から交際の申し込みが何度もございました。

 

そして、わたくしの足からハイヒールを脱がせると、その匂いもそっと嗅いでから床に置きました。

 

王子様の膝に乗せられたわたくしの脚は、ストッキングに包まれていました。

 

長くて形のよい脚は、主人のお気に入りです。

 

永久脱毛しているので、滑らかなスネは、つややかに光っています。

 

エステもフィットネスも、かかしたことがありません。

 

身体の手入れをしない女なんて、女として失格じゃありませんか。

 

つま先から、すね、腿へと、あの方はくちびると鼻先を滑らせるようにして昇ってきました。

 

器用な手つきでガータベルトの金具を外した指先が、絹のストッキングを丸めるようにして脱がせてゆきます。

 

わたくしは、うっとりして身をまかせておりました。

 

はい?なんでしょうか。

 

いやですわ。

 

パンティストッキングなんていう、ヤボなものをわたくしが穿いているとお思いになっていらっしゃったなんて。

 

ストッキングを脱がされたわたくしの腿の後ろをつたって、膝の裏にあの方は鼻を押しつけて、しばらく匂いを嗅いでいました。

 

ふくらはぎ、足首、かかと……ああ、そして、足の指の匂いを存分に堪能したあとで、それを口に含まれたのです。